平成21年1月27日発行 発行者 財団法人ひまわりベンチャー育成基金 千葉産業人クラブ |
飛躍する千葉のベンチャー企業 |
マイクロサージャリー用縫合針・糸のパイオニア |
㈱河野製作所 河野淳一社長 |
河野製作所は顕微鏡を使って行われる微細技術(マイクロサージャリー)用の縫合針・糸の開発・製造で先駆的な存在。研究開発型ベンチャー企業としての機動力を生かし、多品種少量の高付加価値製品をターゲットに医師のニーズに応じた製品を送り出している。整形・形成、脳神経外科の分野では血管縫合などで超微細な器具が欠かせない。同社は直径三〇マイクロメートルと世界最細な針を強みに世界展開を進めている。 |
微細加工を極め、多品種少量生産にこだわり |
河野淳一社長は四代目。精工舎に勤め、時計の針を製造する職人だった祖父が一九四九年に創業した。下請けを脱し、メーカーとして独り立ちしたい思いに加え、祖父自らが胃潰瘍の手術を受けた経験から社会貢献につながる仕事をしようと考え、一九六四年に医療分野に進出したという。当時、医療技術は急速に発展していたが、医療機器の多くは輸入品であり対応できるメーカーは少なかった。「大がかりな医療装置は大手企業にかなわない。ならばウチは針や糸といった他社にはまねのできない多品種少量の細かな仕事で勝負しよう」。モノづくりで貫いているのは徹底した多品種少量生産へのこだわり。培った微細加工には自信があった。 強みは営業、マーケティング、開発、設計、製造など各部門のバランスのとれた体制、技術力に加えて品質管理。試作品づくりから生産設備の設計・製造にいたるすべてを自社内でこなす自己完結の体制を整えている。さらに本質を見極める眼光は鋭く、「品質面で妥協はしない。自身が製品に納得するまでは顧客に求められようとも売る事はない」(河野社長)。職人集団として取り組む道を極める。その一つが世界最細を誇る手術用針と糸の製品化だ。 |
直径三〇マイクロメートルと世界最細な針を開発。新分野に参入も |
一般的に使われている医療用極細針は直径八〇マイクロメートル。これに対し、同社が三鷹光器(東京都三鷹市)、電気通信大学、帝京大学などの産学連携で開発した超極細針は直径三〇マイクロメートル。これまで不可能だった五〇マイクロメートル未満という微細組織の外科手術への対応ができることから、低侵襲手術の実現はもちろん、困難だった複合組織移植の道が開けるという。 モットーはチャレンジ。周囲から「やめた方がいい」と言われる厳しい案件ほど逆にやる気が出るという。「やると決めたらあきらめない。ただ、リスクとタイミングを考えて慎重な判断にも心掛けている」(同)。二〇〇九年春を予定している中国での販売には構想から一〇年をかけた。将来を見通した種まきにも余念がなく、抱える開発案件は三〇品目。医療だけでなく既存技術や医師との関係を生かす中、美容、健康の各分野への新規参入についても準備を進めている。 会社プロフィール 〔代表者〕河野淳一 〔設立〕1970年5月 〔本社〕千葉県市川市曽谷2-11-10 〔電話〕047-372-3281 〔FAX〕047-373-4555 〔資本金〕1,000万円 〔従業員〕94人 〔売上高〕11億円(08年9月期見込み) 〔事業内容〕医療機器製造販売業 〔HP〕www.konoseisakusho.jp/ |
(画像クリックにより記事が拡大されます) |