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2009.8.6 日刊工業新聞

モノづくり 第3回ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞 魅せる技、冴える知恵 4

世界最小針糸 医療技術発展のために

河野製作所(千葉県市川市、河野淳一社長、047・372・3281)は、今回、千葉県の企業で初の内閣総理大臣賞受賞となった。整形外科、形成外科、脳外科、心臓血管外科など顕微鏡を見ながら行う微細手術(マイクロサージャリー)における貢献が期待されている。
帝京大学医学部の黒鳥永嗣教授から「500マイクロ㍍(マイクロは100万分の1)以下の組織、血管に対応する外科手術針糸がないので作ってもらいたい」との相談を受けたことから始まった。今まで作っていた針糸とは比べものにならないくらい小さなものだ。専用のピンセットや器具、工具などの設備づくりから始めなければいけなかった。
本格的に外科手術用の世界最小糸付き針開発に取り組み始めたのは2001年。「黒鳥先生から指導を受けながらの、試行錯誤の連続だった」(河野社長)。3年かかって直径30マイクロ㍍、長さ0.8㍉㍍の糸
付き針製品ができた。医療技術の新しい発展のためにやってみよう、というチャレンジ精神が実った瞬間だった。現在、直径30マイクロ-80マイクロ㍍まで10マイクロ㍍刻みでラインアップをそろえる。
「中小企業でもチャレンジ精神に対し、このような賞をいただけたことは社員一同うれしく思っている。大きな勇気をもらった。今までやってきたことは正しかったと証明された」(同)。採算度外視で事業をスタートできたのも中小企業ならではのトップの決髪の毛よりも微細な手術用針と糸を一つひとつ手作業でつけていく断に加え、部下がついてきてくれたからこそだ、と振り返る。今後は世界のどこにもない日本発のマイクロサージャけーを世界中に広めるため外科医への啓蒙を始める。医療発展に貢献していく考えだ。

河野製作所

【受賞者】河野淳一、岩立力、松本啓介、九家聖一、植田仁子(敬称略)

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