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Cirrax開発エピソード

Cirrax
~困難の先に創造された新市場~

  • 当社はオープンイノベーションにより医療機器開発を進めてまいりました。医療機器開発を事業として成立させるためには、その医療機器のニーズを示すことが必要ですが、その有力な手段の一つとして、新たな保険適用を得るという手段があります。当社の世界オンリーワン新製品の開発が新たな保険適用を得て新市場の創造に至り、医療の発展に貢献した事例を紹介いたします。

    輸入超過の医療機器産業において、医工連携による新医療機器開発は国策となっています。しかしその取り組みが、製品化を経て事業の成立まで至る例は数少ないです。新たな保険適用の例で示すと、2024年1月から12月の間に日本発の医療機器が新規区分であるC1・C2の保険適用を受けた事例は1件(輸入品を含めた全体では10件)のみです。一方、医療機器は輸入超過の状況にあり、特にインプラント製品の輸入比率は非常に高く、例えば生体弁などは全てが輸入品で、当社でも取扱のある吸収性縫合糸も90%以上が輸入品といった状況です。

  • そんなインプラント製品の分野で新規区分であるC1区分の保険適用を受けた当社製品が、Cirrax(シラクス)です。Cirraxは MVD (脳神経減圧術)という脳神経外科にて行われる手術に使用されるインプラント製品です。MVDは1970年代に広まった治療法ですが、専用の医療機器はずっと存在しておらず、医師の裁量により他の機器を適応外使用していました。Cirraxの共同開発を行うことになる藤田医科大学脳神経外科 長谷川光広先生(当時、現東京Dタワーホスピタル院長)はMVDを牽引する医師の一人として、承認された医療機器がないことを問題視されていました。

    MVDは年間3,000件に満たない希少疾病で市場性が小さく、他のどの企業も開発着手に至りませんでした。しかし当社では新しい医療機器の承認取得から保険適用までの事業化計画を立案し、「徹底的な顧客志向による市場創造」という経営方針のもと、製品開発に着手しました。

  • 事業化プロセスの中で困難なステップとして、医療機器の薬事承認取得と保険適用があります。Cirrax開発では、医師と共同開発するオープンイノベーションによりそれらの困難を乗り越えました。
    まず薬事承認取得においては、審査を行うPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に対し、性能の立証のためにCirraxの必要性の説明や性能試験を共同で実施いただきました。次に保険適用においては、同様にMVDのための医療機器を必要とする他の先生方の現場の声を集約し、先生から審査を行う厚生労働省に伝えていただくことで、当初は適応外使用の継続が主流だった認識を改めていただく契機となり、保険適用が認められることになりました。

    Cirraxの共同開発を行った長谷川先生には、薬事承認取得と保険適用の両方にも携わっていただき、Cirraxの開発と上市にご尽力いただきました。
    長谷川先生は「脳外科の中では症例数の多くないMVDに熱意を持ち、こちらの要望に対してもすぐに答えをくれたことが、Cirraxが完成した一番大きな要因だと思います。
    薬事承認取得や保険適用は、製品開発に携わらないとあまり知る機会のないことなので、非常に勉強になっておもしろかったです」とCirrax開発を振り返ります。

  • 上市後も臨床現場への浸透と適正使用の働きかけを行う上で、オープンイノベーションを展開しています。臨床への浸透は長谷川先生を中心に学会発表が継続的になされており、また当社のこうした開発姿勢や製品性能に共感いただいた先生を中心に新たなコミュニティが形成されています。

    水戸ブレインハートセンター院長 畑山 徹先生は、Cirraxを使用したMVDの習熟機会を積極的に設けていらっしゃり、当社もMVDを広める活動に協力してまいります。

    このようなCirraxの事業化プロセスに賛同いただいた医師からは新たなニーズがもたらされることに繋がっており、今後もオープンイノベーションによる新製品・新市場の創造を続けてまいります。

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