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マイクロ針の開発と実用化開発エピソード

マイクロ針の開発と実用化
微小外科のパイオニアとして

  • 河野製作所はマイクロサージャリー(微小外科)のパイオニアとして、医療の発展に貢献することを掲げ、医療機器を開発・製造しています。医療の発展は、新たな医療機器が開発されることだけでは達成されず、医療技術の進歩との両輪であってこそ実現します。

    当社のマイクロサージャリー用針付縫合糸は、医師からニーズを受けたことから始まり、その後も社内で技術革新を進めたことにより、最先端の手術にも使われるようになった事例の一つです。

  • 当社のマイクロサージャリーの歴史は、1960年代に奈良医科大学 整形外科 玉井 進 先生(奈良県立医科大学 整形外科学名誉教授)と出会ったことから始まりました。
    微細加工技術を期待され、マイクロサージャリー用の針付縫合糸やクリップの開発依頼を受けたことから、直径150µm(=0.15mm)の針と10-0(=太さ0.02~0.029mm)の糸を組み合わせた針付縫合糸を開発し、医療機器を専業とした1970年には市場に展開しました。

    その後も当社は技術革新を止めず、さらに細い縫合針の開発を進め、1980年代には直径50µm(=0.05mm)の針に12-0(=太さ0.001~0.009mm)の糸を組み合わせた針付縫合糸を開発しました。ですが開発当時はこの小さな針へのニーズは少なく、広く使われるようになるには20年の時間がかかりました。

  • その間、形成外科では穿通枝皮弁やリンパ管静脈吻合(LVA)といった手術が実施されるようになり、微細な血管やリンパ管の吻合を行うためのより細い針付縫合糸が必要となっていました。

    そんなスーパーマイクロサージャリー(超微小外科)分野での新たなニーズに対し、当社は岡山大学 形成再建外科教授 光嶋 勲 先生(広島大学病院 国際リンパ浮腫治療センター 寄付講座教授、東京大学名誉教授)をはじめとした医師に直径50µmの針がついた針付縫合糸を提供し、手術の実施を支えました。

  • 社内では直径50µmの針の需要増加に応えるため、熟練の社員しかできなかった製造工程を標準化し、顕微鏡を作業工程に取り入れ、高い品質が保たれた製品の安定的な量産を可能にしました。
    また針付縫合糸のみならず、針をつかむ持針器などの医療機器も医工連携により開発を行うことで、マイクロサージャリーを実施できる環境をものづくりによって支えてきました。

    そして直径50µmの針が手術で広く使用され始めてからも、さらに小さい世界最小の直径30µmの針(のちに「第3回日本ものづくり大賞内閣総理大臣賞」受賞)を開発し、将来的に身体のさらに微細な部分を対象とした手術が一般的になったとしても、その手術の実施に応えられる体制を整えています。

  • このように当社ではニーズを受けて開発を行うことにとどまらず、社内での技術革新により最先端の手術に対し製品を速やかに提供し、また手術の実施に必要な周辺機器の開発・製造も行うことにより医療の発展に寄与してきました。

    当社はこれからも医工連携、そして基礎研究を通じてマイクロサージャリー分野のパイオニアであり続けます。

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